文明の外縁

 帝国の外、文明の外縁に存在した日本とドイツ。
 共に民族文化を残しつつ、文明を取捨選択して取り入れている。
 日本の場合には海を隔てて文明との距離感が保たれていたが、ドイツ=ゲルマン人の場合には文明化はローマ化ではなくキリスト教への改宗という形で行われた。
 日本にとっての最初の異文化接触は仏教伝来であったが、これは中華起源の文明ではない。これを生み出したインド文明については別に考察する必要があるだろう。
 朝鮮は中華文明の変質に追従してそのたびに総入替しているが、日本は今あるモノを基底として変更できる部分だけを取り入れている。だから半島には古い文化が残っていないのに対して、日本には本家=中国ですら廃れた仕舞った古いモノが残っていたりする。
 言ってみれば、朝鮮文化はフルモデルチェンジで、日本文化はバージョンアップである。両者の是非は敢えて問わない。
 ドイツの場合、ローマ化された経験が無いだけに逆に憧憬の念が強いらしい。だからドイツ人の王国なのに”神聖ローマ帝国”などと名乗ってしまう。フランスとドイツとイタリアの関係はジャンケンの様である。フランスはイタリアをうち負かす。ドイツはそのフランスをねじ伏せる。だが、イタリアはドイツを手玉に取ってしまう。