文明の通り道

 ベトナムとイギリスを対比させる上で最大の問題点は朝鮮=フランスの第一グループとの関連性である。
 イギリスはフランスを経由して文明化した為に、長くその影響下に置かれた。対してベトナムは朝鮮とは別ルートで分明と接触したため、相互に無関係に存在した。この点でイギリスと似通っているのはやはり日本である。
 だが朝鮮は中華文明をそのまま伝えただけで何ら手を加えていないのに対して、イギリスに入ったローマ文明はフランス人の手が加わっている。イギリスにとっての文明化はローマ化と言うよりフランス化と言っていい。
 この違いは両者の地理的状況が影響している。イギリスが大陸文化を取り入れるにはフランスを介する以外に無かったのに、日本は半島ルート以外に直通ルートを持っていた。更に、日本は取り入れた文化に独自のアレンジを加えてオリジナルの文化を創り上げている。
 自前の民族文化と外来の最新文明とを程良くミックスしたのが日本であり、ドイツであった。