文明の源流

 東アジアの文化の源流は古代中国である。対して、ヨーロッパ文明の源流は古典古代と呼ばれるギリシア・ローマに遡る。だからアジアに置ける中国と対比させるにはギリシアとイタリアをセットで取り上げるべきかも知れない。
 中国最古の文明は黄河流域ではなく長江流域に起こったと言う説もある。長江文明ギリシア黄河文明をローマに対比させるのも一興である。
 中国最初の秦漢帝国ローマ帝国はほぼ同時期に存在した。シルクロードを通じて交渉があったかも知れないが、基本的には全く独立して存在したと見て良い。
 どちらも北方騎馬民族の侵入によって崩壊した後、中国には隋唐、ヨーロッパにはフランク王国という文化的継承国家*1が誕生した。但し、ローマ帝国の方はギリシアに東帝国が健在であったが。
 大唐は東突厥の可汗も兼ねる、中国史上でも最強の帝国であったが、最後には内乱によって滅亡した。この混乱によって我が国は華夷秩序からの脱却に成功した。同じくベトナムもこの時期に独立を果たしている。 
 一方、フランク王国は継承問題*2から三分され、それぞれがフランス・ドイツ。イタリアの原型となる。
 その後、モンゴルの大征服がユーラシア全土を揺り動かす。中国はモンゴルの支配を受けるが、ヨーロッパはその支配から免れた。但しその恐怖は黄禍論としてヨーロッパ人の心中に深く傷を残す。
 ローマ直系のイタリアはルネッサンスを通じて文化的な復古を遂げるが、二度と政治的な中心にはならない。中国はモンゴルを北へ追いやった後も常に北からの脅威を受け続ける。
 イタリアも、中国も、古代帝国崩壊後は異民族との戦争*3に勝ったことがない。これは有る意味で文明国家の宿命とも言える。端的に言えば、知性派と肉体派がケンカすれば肉体派は勝つに決まっているのだ。

*1:民族的には蛮族の流れになるので

*2:フランク族は分割相続が原則であった。

*3:戦闘ではなく