源頼朝

 義経人気(いわゆる判官贔屓)のために割を食った、非常に人気のない人物。
 政治家の人気と実力はとかく一致しないが、優れた政治家というのは現実主義者であるため、元々人気とは結びつきにくい。
 賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶと言う。
 頼朝はまさにこれを地で行った。彼は二人の先人の失敗を繰り返さなかった。
 一人目の先人とは平将門である。彼は東国に独立政権を作ろうとして公家政権と対立して敗れた。
 二人目は平清盛である。彼は公家政権と結びつきすぎて地盤の武家に背かれた。

 第一の教訓は大義名分である。
 第二の教訓は利益配分である。
 頼朝はこの二つの命題を見事に両立させた。