江戸の環境問題

 近代的な史観では江戸時代は封建的な閉鎖社会とされてきた。
 それがいつの頃からか江戸時代の再評価が進んでいる。
 小さな政府という観点から何度か江戸幕藩体制について触れてきたが、今回は(昨日の流れから)環境問題について取り上げる。
 昨日にも触れたが、環境問題と人口問題は表裏一体である。
 まず人口増加があり、それを支えるために開発が進む。開発による食糧増産は常に後追いである点が重要である。
 前工業化社会である江戸を支えていた自然力を利用したエネルギー源は、確かに現代とは比べものにならないくらいクリーンであった。
 だがそれで支えられる人口はおよそ四千万、つまり現在の三分の一以下である。
 江戸時代の末期には社会を維持するために様々な人口抑制機能が働いた。
 晩婚・少産の傾向は死亡率の低下に対応した人為的な人口抑制に他ならない。
 江戸と現代との違いは避妊や堕胎が遙かに安全で確実なモノに成った事くらいである。