見えるモノと見えないモノ

 窓が割れて怒っている人に対して、
「窓が割れるからガラス屋が儲かるのだ」
 と言って慰める話がある。
 だが、これは誤った経済理論である。
 ガラスの修理代は確かにガラス産業の振興になる。これは「見える」効果であるが、ガラスが割れなかったら、この代金は別のことに使われたであろう。
 これが「見えない」効果である。
 相対的にはガラスが割れたことはその分だけ社会全体の損失と言える。

 公共投資による利益は「見える」効果であるが、それを支える課税による納税者の消費という「見えない」効果を捨てていると言うことになる。
 公共事業による景気浮揚策というのはまやかしである。
 ましてその財源に国債を用いるなど…。