ドイツ(3)

 30年戦争の発端はボヘミアであった。現在のチェコに当たるこの国は当時神聖ローマ帝国の一部であり、唯一の王号を持つ国家であった。
 ボヘミアはルターに先立ってフスによる宗教改革が起こっており、ルターの”抗議”にいち早く反応を見せた。ハプスブルク家はこのボヘミアの王として「イエズス会にはまった」ガチガチの旧教徒であったフェルデナントを送り込んだ。
 ボヘミア王フェルデナントはマチアス皇帝の甥にして後継指名を受けた訳だが、皇帝選出の会議出席中にボヘミア王位を失陥する。ボヘミアの王位を決める等族会議が彼の王位を剥奪し、カルヴァン派プファルツ選帝侯フリードリヒを新たな王に指名した。斯くして30年戦争の第一幕、ボヘミア=プファルツ戦争が始まる。