分割相続

 前提条件として親の財産を子が受け継ぐのは至極当然である。これを認めないと社会が成り立って行かない。財産の継承が伝統の蓄積に繋がる。伝統というのは先人の知恵の結晶であって、これを全く無視すると無駄な試行錯誤を繰り返す羽目に陥る。
 さて、相続制度は突き詰めれば二種類しかない。分割相続と一括相続である。今回はこの内、分割相続について考えてみる
 分割とと言ってもすべての子供に平等にとはなかなか行かない。「馬鹿な子ほど可愛い」と言うが、これは一種の知恵かも知れない。優秀な子供は分け前がなくてもしっぱにやっていけるだろうから、劣った子に多めに残すのは子孫の繁栄には有効である。これが一括相続となれば、優秀な者に嗣がせるべきだが、親の目でそれを選ぶのはかなり難しいだろう。
 分割相続の問題点は経済成長が止まると分けるべき財産がどんどん小さくなってしまう点である。よって、社会が安定成長期にはいると自然に一括相続制へ移行することになる。