王者と覇者

 覇権システムというのはそもそも西欧列強の発明ではない。
 その起源は春秋時代の中国、最初の覇者・斉の桓公の軍師管仲に求められる。
 管仲は武力を背景にして諸侯を集め「会盟」を結ぶ。これが言ってみれば現在の国連に相当するだろう。
 会盟は牛の耳を切ってその血をすすって誓いを立てるのだが、ここから牛耳ると言う言葉が生まれている。 
 覇者に対応するのが王者である。両者は対立関係ではなく相互補完関係にある。
 王者は覇者に担がれる御輿であり、覇者は王者の持つ権威を利用して大義名分を得る。
 日本の天皇制はこれをそのまま踏襲したモノであるが、本家の中国では王者と覇者を一人で兼ねる皇帝が生まれた。
 しかし現実には王者に属する「権威」と覇者に属する「権力」は容易に融合しない。