人口論

 現行の年金制度のもう一つの問題点は(官僚らしい)未来展望の甘さである。
 制度が作られたときの「右肩上がり経済」と「ピラミッド型人口分布」を前提にしているためにそれが崩れると制度そのものが機能しない事になる。
 経済動向については回復する可能性もあるが、人口分布の方ははっきり言って元には戻らない。何かと問題視される少子高齢化というのは医学の進歩を初めとする文明の恩恵なのだ。
 これはたとえるなら、飽食の生活をして肥満を嘆くような贅沢な悩みなのである。
 環境問題や食糧問題を思えば人口が減ること自体はむしろ望ましい事とさえ言える。