地縁と血縁

 遠くの親類より近くの他人、と言う諺がある。
 人類社会は初め血縁的な繋がりを持つ氏族社会を形成する。だが、集団が大きくなり複数の氏族が入り乱れて暮らすようになるとこれが解体し新たに地縁共同体が発生する。
 近代国家は拡大した地縁共同体が、相互の生存圏を示す国境線を互いに尊重する事で成立した。
 日本は島国という特徴に加え、長い「鎖国」と言う人的交流(文化交流にあらず)が断絶した時期があったために地縁と血縁がほぼ等価になっている。こういう例は世界でも珍しいであろう。このために日本人は民族問題に対して非常に鈍感になっている。
 多くの民族問題というのは、地縁より血縁を重んじた結果として発生してるように思える。