日米の抗争

 日本は英米二国助力を得て、辛うじてロシアに勝利した。
 大多数の国民は日本国民は己の限界も知らず、また同盟国の腹の内も全く理解していなかった。彼らは戦勝が独力で得られたモノと信じ込んでしまった。
 当時のマスコミが戦意を煽り、実情を隠したという面はある。だが国力が限界であることをばらしてしまったら講和そのものが成立しなかったであろう事もまた事実である。

 イギリスの目的は日本を使ってロシアを叩くことで有るから、特に見返りは必要としない。だが、アメリカの方は期待していた分け前が得られずに機嫌を損ねていた。
 さりとて、講和の仲介はあくまでも中立の立場で行われたために自分から要求するわけにも行かないのである。
 鬱憤はやがて排日運動として顕在化する。