連立政権の矛盾

 有る政党が全議席過半数を占めている場合、それ以外の政党がどのような議席数を持とうとも政局には影響しない。
 これがかつての日本の状態であった。
 野党第一党政権交代を諦め、憲法改正の阻止のみを党是として三分の一以上の議席を維持することに汲々としていた。
 ところが安定多数を誇っていた大与党が内部分裂を起こしたことから政局は一気に流動化し、連立政権時代を迎える。
 連立政権を作る場合、総議席数と影響力とは一致しなくなる。
 例えば三つの政党があってどれか二つが汲むことで過半数を取れる状態で有れば、どの政党も影響力という点では等しいのである。
 但し、上位二つの政党が互いに相容れない場合、そのどちらとも組める中道第三政党は政局の帰趨を制する事になる。
 しかし、選挙で第一党が交代したからと言うだけで第三政党が連立相手を交換するのでは選挙民も納得が行くまい。
 第一党の敗北はそれまでの連立政権への不信任とも取れる訳で、与党の一翼を担ってきた第三政党の責任も免れまい。