地方分権国家モデル

 いままでは組織としての最小国家を論じてきたが、今回は規模に着目した考察をする。
 国防のような数が力に直結する様な分野では国家の規模は大きい方がいい。 
 だがそれ以外の機能については地方単位での運営の方が効率がよい。
 以前(id:tojiroh:20050430:1115042655)にも触れたが、日本が中央集権を確立したのは明治以降であり、江戸時代は幕藩体制という名称(これは西洋流の史学が入った近代以後の命名である)に現れているように地方分権であった。
 江戸時代の政治体制というのは最小国家の成功例と言える。
 まず中央政府(幕府)も地方政府(藩)も財政規模が極めて小さく、多くの機能が庶民の自主管理に委ねられていた。
 そして地方政府に対する中央政府の統制力も極めて小さい。
 但し、警察組織が地方単位でバラバラなため広域犯罪に対応出来なかったと言う弱点はある。特に関東地方は大名領と天領が入り組んでいて博徒の跳梁を許している。
 この点は現在の警察組織でも改善されているとは言い難い。なわばり争いはセクト主義と並ぶ官僚の宿痾である。
 この場合に必要なのはFBIのような強権的な中央警察よりも、ICPOのような穏やかな連絡調整機関であろう。