雇用兵と徴用兵

 傭兵というのは最も古い職業の一つと言われるが、歴史的に見て雇用兵と徴用兵というのは交互に利用されてきた。
 ギリシアローマのいわゆる古典古代には国民皆兵が原則であった。しかし国家の巨大化と共に次第に傭兵へと代わり戦争の性質も変化する。
 徴用兵全盛の時代は兵の補充が容易で、それだけに決戦的な性格が強い。これが雇用兵の時代になると、戦争のコストが嵩むので持久戦が主流となる。
 別の表現を用いると、人命軽視の時代と人命尊重の時代が交互に訪れると言うことである。
 勃興期にある国家では、人口は増加傾向にある。これは人口に占める若者の比率が高いと言うことであり、こうした国家では仕事にあぶれた若者が軍隊へと集まる。そして戦争を引き起こす。
 逆に安定期にある国家は逆に若者が減って少子高齢化社会となるから、平和を志向するようになる。
 と言うわけで、いまの日本で徴兵制が復活する可能性は無い。